「昆布はだしを取ったら捨てちゃう」という方に、お伝えしたい情報があるのです。
昆布には、豊富な栄養が含まれています。
その効能は、エキスだけ取って捨ててしまうのはもったいない、優れた力です。
今回は、昆布の栄養や効果について詳しく解説していくので、ぜひ最後までお読みくださいね。
きっとあなたも「昆布を食べよう!」と決意するはずです。
昆布とは
昆布は、日本のだし文化により、古くから親しまれている海藻です。
旨味成分が多い昆布は「だし」として使われる、日本食には欠かせない食材ですよね。
昆布は寒い地域で育つ海藻なため、全国昆布生産量の90%を北海道が占めています。
産地によって種類は違い、真昆布、日高昆布(三石昆布)、利尻昆布、羅臼昆布などが有名です。
また、昆布の長さは2mから10mほどにもなるのですが、乾燥させて短く切り揃えてから流通しています。
そして、昆布には「海の野菜」の別名もあり、低カロリーで、ミネラルや食物繊維が豊富です。
さらに昆布はアルカリ性食品でもあるため、現代の食生活で酸性に傾きがちな体のバランスを整えるサポートもしてくれます。
昆布はだしを取るだけじゃなくて丸ごと食べるといいんだよね
それなら柔らかく煮えやすい日高昆布がおすすめだよ
昆布の加工品
昆布加工品には、さまざまな種類があり、スーパーやコンビニなどでも購入できます。
主な昆布加工品
塩昆布、佃煮、とろろ昆布、昆布茶、酢昆布、おしゃぶり昆布など
日々の食生活に便利な昆布加工品を加えることで、手軽な栄養補給が可能です。
昆布の栄養価は加熱しても変わらないので、加工品もうまく活用していくのをおすすめします。
昆布の栄養と効能
昆布には、体内で作ることのできないミネラルが豊富です。
海の中で育つ昆布は、海水のミネラルを吸収しながら光合成をして成長します。
人の体液は海水の成分と近いため、昆布のミネラルは特に消化吸収しやすい栄養素です。
つまり、昆布の栄養は効率的に体内で活用されやすいということになります。
「だし」を取ったあとの昆布にも栄養はたっぷりと含まれているので、捨てずに料理などにお使いくださいね。
多くの栄養素を含んでいる昆布は、体に嬉しいさまざまな効果をもたらしてくれるスーパーフードです。
ここからは、昆布に含まれる代表的な栄養素と旨味成分について解説していきます。
ヨウ素(ヨード)
昆布には、基礎代謝を高めるヨウ素が含まれています。
ヨウ素は海水中に存在している成分で、昆布などの海藻類や魚介類に含まれている栄養素です。
体内では、甲状腺で作られる甲状腺ホルモンの成分で、成長やエネルギー代謝に重要な役割があります。
このヨウ素は他の海藻類にも含まれていますが、ヨウ素含有量が圧倒的に多いのが昆布なのです。
カルシウム
昆布には、骨や歯の材料となるカルシウムが含まれています。
昆布には牛乳の約7倍ものカルシウムが含まれているため、骨を強くするためにも最適です。
成長期のお子さんから骨粗しょう症が気になる年代まで、幅広い世代に昆布を食べることをおすすめします。
カルシウムは、ビタミンDやビタミンKと一緒に摂るといいですよ。
ビタミンDが多い食材
→ サケ、サンマ、イワシ、シラス、きのこ類
ビタミンKが多い食材
→ シソ、納豆、モロヘイヤ、小松菜、大豆油
鉄
昆布は、体内に吸収しやすい鉄が豊富な有能食材です。
鉄は血液中の赤血球を作る栄養素で、不足すると酸素をうまく取り込めず、貧血になってしまいます。
鉄が多い食べ物と言えばレバーやプルーンが挙げられますが、実は昆布にもたっぷりと鉄が含まれているのです。
また、昆布の鉄は体内への消化吸収率が高いため、鉄分不足にお悩みの方にぴったりの食材と言えます。
鉄は、ビタミンCと一緒に摂るのがおすすめです。
ビタミンCが多い食材
→ ピーマン、ブロッコリー、かぼちゃ、キャベツ、じゃがいも
食物繊維
昆布には、アルギン酸やフコダインといった食物繊維が豊富に含まれています。
水溶性食物繊維であるアルギン酸とフコダインは、昆布のヌルヌルの成分です。
これらの食物繊維は、血糖値を抑制し、コレステロール値の上昇を防ぐ作用があります。
また、アルギン酸には体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防にもなりますよ。
なお、水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなるため、昆布は腸活にも向いている食材です。
昆布に含まれる食物繊維で腸内環境が改善されると、便秘解消などさまざまな効果が得られます。
グルタミン酸
昆布に含まれる代表的な旨味成分は、アミノ酸である「グルタミン酸」です。
昆布から出る「だし」は、昆布に含まれている旨味成分が溶けだしたものです。
グルタミン酸は脳神経の伝達に深く関わっていて、胃腸の働きを促す効果があり、筋肉の維持にも役立ちます。
また、旨味成分が加わると味がまとまりやすくなるので、塩分の摂りすぎ防止にもなりますね。
ちなみに、昆布のグルタミン酸は他の旨味成分と組み合わせると、相乗効果でさらにおいしくなりますよ。
その他の旨味成分とは、鰹節や煮干しのイノシン酸、干し椎茸のグアニル酸などです。
それぞれの旨味が共存する「合わせだし」は、合理的な手法だと言えますね。
昆布を手軽に摂るなら「昆布水」
昆布を一番簡単に取り入れられるのは「昆布水」です。
「だしはだしの素を使うから」「料理に使うのはちょっと面倒」という方も多いですよね。
忙しい毎日でも手軽に昆布の栄養を摂るためには、簡単に作れる昆布水がおすすめです。
【昆布水の材料】
・水 1リットル
・昆布 10g(5cm×10cmが2枚ほど)
材料は昆布と水だけ、冷蔵庫で1晩放置しているだけで翌朝には完成しています。
*そのまま冷蔵庫で3日ほど保存可能です。
昆布水はデトックスウォーターと同様、漬けておくだけで昆布の栄養成分が染み出した水です。
毎日コップ1杯飲むだけで、しっかりと昆布の豊富な栄養を摂ることができますよ。
もし少し飲みにくいと感じる場合は、水で薄めるなどしてみてくださいね。
また、レモンを少し絞ると飲みやすくなりますよ。
私は梅干しを潰して入れた「梅昆布水」にするのが好き
梅干しを入れると昆布水がさらにパワーアップするね
もちろん、この昆布水は「昆布だし」として、料理にもそのままお使いいただけます。
簡単にできて手軽に取り入れられる昆布水を、ぜひ試してみてくださいね。
昆布の保管方法
昆布は、密閉容器に入れて冷暗所で常温保管します。
乾燥昆布は湿度に弱いため、乾燥剤も一緒にいれておくといいですよ。
また、だしを取ったあとの昆布をすぐに使わない時には冷凍保存がおすすめです。
溜まったら煮物にするなどして、積極的に普段の食事に取り入れてくださいね。
昆布の表面に付いている白い粉は、マンニットという甘味料の材料としても使われている甘み成分です。
マンニットは、昆布を乾燥させる際に水分が蒸発するのと同時に表面に浮き出てきます。
このマンニットも昆布の旨味なので、洗い流したり拭いたりせずに、そのままお使いください。
昆布の食べ過ぎはよくない?
昆布に含まれるヨウ素は、過剰に摂ると甲状腺ホルモンの異常を引き起こしてしまいます。
体にいいからといって、食べ過ぎて不調をきたしてしまうのは本末転倒ですよね。
しかし、日本人はヨウ素の過剰摂取の影響を受けにくいと言われています。
海外と比べると、日本では海藻をたくさん食べる習慣があるため、遺伝子的に耐性ができていると考えられているのです。
だからといって、ヨウ素を摂りすぎてしまうのは良くありません。
昆布をたくさん食べたら、その後は数日控えるなどして、バランスよく食生活に取り入れていきましょう。
昆布をたくさん食べる時は、納豆や豆腐などの大豆製品と一緒に食べるのもいいですよ。
大豆に含まれるイソフラボンには、ヨウ素が体内に蓄積するのを抑える作用があります。
まとめ
昆布は「だし」を取るだけのものではなく、体にいい栄養が多く含まれている有能な食材です。
人の体液と同じ成分である海のミネラルにより、昆布に含まれる栄養素は体内での消化吸収率が高くなっています。
昆布を食べることで、豊かな海の栄養をうまく取り入れて活用できるのは嬉しいですよね。
昆布の栄養を摂取すると、さまざまな病気の予防になり、美容効果も期待できます。
健康な体を作るためには、毎日の食生活に少しずつ昆布を取り入れていきましょう。
そして、豊富な栄養を余すことなく摂れるよう、だしを取ったあとの昆布も積極的に活用していってくださいね。