「山菜は下処理が面倒」という方もいるのではないでしょうか。
山菜のおいしい季節がやってきました。
今が旬の山菜には、春に体が欲する栄養が含まれています。
今回は、山菜の栄養や効果、下処理方法などを詳しく解説していきます。
春の味覚を楽しみ、眠っていた冬の体を起こしましょう。
春の山菜とは?
山菜は、野山に自生している「食べられる野生の植物」です。
暖かくなってくる時期には、自分で山へ行って山菜採りをする方も多いですよね。
天然の山菜はどれも特徴的で、それぞれが野生ならではの独特な風味と味を持ちます。
また、山菜に含まれている豊富な栄養は、春の体に必要な栄養素です。
旬の食材には、その時期に体が欲する栄養素が多く含まれています。
季節のものを食べると、そのときの気候に合った効果を得られるのです。
そして、ほとんどの山菜は食べる前に下処理が必要ですが、それほど手間ではありません。
山菜にはたくさんの種類があるので、いろいろなものを楽しんでくださいね。
春の山菜でデトックス
春の山菜を食べることで期待できるのは、デトックス効果です。
冬の気温が低い時期、体はどうしても老廃物を溜め込みやすくなってしまいます。
その老廃物が溜まったままだと不調が現れてしまうため、春にはデトックスが必要です。
デトックスと言えば、汗をかいたり水をたくさん飲むイメージですが、食べることでも行えます。
春の山菜に含まれている成分が持つのは、体内の代謝を促進させる力です。
山菜を食べることによって、老廃物を排出する働きを助け、体を活性化させられます。
デトックスで期待できる効果
便秘解消
山菜には食物繊維が豊富に含まれていて、腸の働きを活性化させる作用があります。
免疫力アップ
山菜を食べて腸内環境が整うことによって、体の免疫力が上がります。
むくみ解消
山菜に含まれるアルカロイドやカリウムなどには、体内の老廃物を排出する効果があります。
腎機能の向上
山菜の苦み成分であるポリフェノールは、体内の毒素を分解する腎臓の働きを助けます。
栄養豊富な山菜は、このほかにも多くの効果が期待できますよ。
春の山菜の特徴
春の時期の山菜には種類が豊富にあります。
山や草地で採れる春の山菜には、まだ出てきたばかりの柔らかい若芽の部分です。
食べやすいものからクセの強いものまでさまざまで、種類それぞれに独特の苦味や香りがあります。
天然物の旬の時期は短く、あっという間に終わってしまうのでとても貴重です。
そんな期間限定のおいしさを、ご家庭でも楽しんでみてはいかがでしょうか。
ここでは春の山菜の代表的なもの6種類の栄養を、解説を交えながらご紹介します。
ふきのとう
ふきのとうは春になると一番最初に出てくる山菜で、独特な香りとほろ苦さがあります。
綺麗な薄い黄緑色のふきのとうは、同じ山菜であるフキの蕾です。
雪解けの時期になると、まず出てくるのは蕾で、花が咲いたあとに葉茎が伸びてきます。
蕾がまだ小さく閉じているところを採取したものが「ふきのとう」です。
蕾が開いてくると苦味が強くなりすぎて、食用には適さなくなります。
ふきのとうはアクが強い山菜なので、下処理はしっかりとしてくださいね。
ふきのとうには、デトックス効果のあるポリフェノールやカリウムが含まれています。
また、抗酸化作用のあるビタミンEや、腸内環境を整える食物繊維も豊富です。
代表的なメニューとして人気なのは、ふきのとう味噌や天ぷらがあります。
香りがいいので、細かく刻んでパスタやスープに使ってもおいしいですよ。
タラの芽
タラの芽には、ホクホクした食感と、ほのかな苦みがあります。
タラの芽は、天に向かって真っすぐ伸びるトゲのあるタラの木から生えてくる新芽です。
成長が早いため旬は短く、天然のタラの芽を採取できるのはほんの少しの期間に限定されます。
タラの芽には、むくみ解消効果のあるカリウムが多く、高血圧や糖尿病にもおすすめです。
また、美肌効果や抗酸化作用のあるβ-カロテンや、貧血予防になる葉酸なども豊富に含まれています。
タラの芽は「山菜の王様」とも呼ばれ、最もよく知られている人気の山菜です。
主に天ぷらで食べられることが多いですが、サッと茹でてお浸しや和え物にしても特徴を楽しめます。
また、クセが少ないため、炒め物や炊き込みご飯、アヒージョなど、幅広く利用しやすいです。
ウド
山菜好きから人気が高いウドは、いい香りとほろ苦さが特徴です。
ウドは栽培もされていて、光を当てずに作られた白いものがスーパーなどに並びます。
一方、山に自生する天然のウドは「山ウド」とも呼ばれ、緑色をしていて香りがとても強いです。
ウドはタラの芽の仲間のウコギ科で、木ではなく地面から生えてくる草の分類です。
大きく育ちすぎると固くなって食べられないため、若い芽を摘んで食用とします。
ウドの栄養素でデトックスが期待できるのは、体内の毒素を排出する作用のあるアスパラギン酸です。
また、むくみ解消になるカリウムや腸の働きをサポートする食物繊維も多く含まれています。
ウドの用途は幅広く、天ぷらから和え物、炒め物、煮物など、さまざまな料理で楽しめますよ。
行者にんにく
ネギやニラの仲間でニンニクのような強い香りが特徴の行者にんにく。
「アイヌネギ」「キトビロ」などといった別名もあり、山菜として北海道や東北では代表的です。
冷涼な気候を好むため、気温の低い土地や標高の高い山などの場所に自生しています。
成長が遅く、食べごろの大きさになるまでには5年以上かかるので、とても貴重な山菜です。
行者ニンニクは栄養価が高く、疲労回復や滋養強壮をはじめとした多くの効果が期待できます。
代表的な栄養素は、免疫力を高め血行を促進させる効果があり、強い殺菌作用も持つアリシンです。
アリシンはネギやニラなどの香りのもととなる成分で、行者ニンニクには特に多く含まれています。
下処理は特に必要なく、醤油漬けにしたり、ニラと同じように炒め物にしたりなど用途は広いです。
また、北海道の春の定番メニューとして行者にんにくをたっぷり入れたジンギスカンがあります。
こごみ
こごみはクセがあまりなく、誰にでも食べやすい山菜です。
鮮やかな緑色をしたこごみはシダ植物で、正式名称をクサソテツといいます。
山菜として食用にするのは、新芽のまだ葉がくるくると巻いている状態のものです。
こごみには、食物繊維やカリウムなどのミネラルが豊富に含まれています。
見込める効果は多く、便秘解消や免疫力アップ、血流改善、アンチエイジングなど、さまざまです。
こごみには少しぬめりがあり、苦味はなく穏やかな味わいで、野菜と同じように使うことができます。
アクが少ないため下処理いらずで、サッと茹でるだけでも食べられる万能な山菜です。
和え物やお浸し、サラダなどでシンプルに食べるのがおすすめですが、いろいろな調理法にも合います。
わらび
独特の風味とぬめりが特徴のわらびは、古くから親しまれてきた山菜です。
わらびもまたシダ植物の一種で、葉が開く前の若芽の柔らかい部分を食用とします。
日当たりのいい草地や土手などにも群生しているため、比較的見つけやすい山菜です。
わらびにも食物繊維やカリウムなどが豊富に含まれていて、多岐にわたった効果が期待できます。
また、脂肪分解作用のあるビタミンB2が多いので、ダイエットや生活習慣病の予防にもいいですよ。
わらびはアクが多く、そのままでは苦みや渋みが強いため、事前にしっかりと下処理をします。
また、長期保存のために塩漬けする方法があり、その場合はアク抜きの必要はありません。
わらびはアクさえ抜けてしまえば万能に使える山菜なので、どんな料理でもおいしく食べられます。
山菜の下処理方法
春の山菜はアクが強く、食べる前に処理が必要なものも多くあります。
山菜の下処理は面倒そうなイメージがあるのですが、それほど手間はかからず簡単です。
ここでは下処理が必要な山菜と、その処理方法をご紹介します。
アクは摂りすぎると毒にもなるため、必ず処理してからお召し上がりくださいね。
ふきのとうの下処理
ふきのとうはとてもアクの強い山菜です。
その影響で、包丁で切るとすぐに切り口が酸化して変色してきてしまいます。
切ったあとはしばらく水にさらしておくか、油で炒めるなどすればアクは抜けますよ。
ふきのとう味噌などで炒めて使う場合には、水にさらさずそのままじっくり炒めるといいでしょう。
天ぷらにして食べる場合も、何もせずに衣をつけて揚げるだけでアクは抜けます。
フキの下処理
フキを食べられるようにするには、下茹でして皮を剥く必要があります。
ふきのとうの葉茎であるフキも、アクが強いです。
また、フキは筋が多く、皮を剥かなければ食べられません。
下処理方法は、色が鮮やかになるまで茹でて、端から端まで皮を剥けば完了です。
皮を剥いたあとは食べやすい大きさに切り、煮物や炒めものなどのいろいろな調理に使えます。
細いフキは柔らかいので、茹でたものをマヨネーズで食べるのもおすすめですよ。
ウドの下処理
独特の香りとほろ苦さが楽しめるウドも、アクのある山菜です。
ウドは切るとアクが出てくるので、切ったあとは10分ほど酢水にさらしておきます。
アク抜きだけなら水のみでいいのですが、お酢を加えることで変色防止にもなります。
ウドは繊維が強いため、節ごとに切り分けて、皮を厚めに剥くのがポイントです。
穂先は天ぷらに、茎は酢味噌和え、皮はきんぴらにすると捨てるところなく食べられます。
わらびの下処理
わらびのアク抜きは時間がかかりますが、手間なく処理できます。
ぬめりと歯ごたえが特徴のわらびは、しっかりとしたアク抜きが必須の山菜です。
沸かしたお湯1リットルに小さじ1杯の重曹を溶かし、わらびを入れてそのまま1晩冷まします。
翌日、緑色になった水は捨て、何度か水を替えながら色が出なくなるまでさらせばアク抜きは完了です。
下処理後のわらびは水に漬けた状態のまま冷蔵庫で保管し、2~3日で使い切りましょう。
そのままマヨネーズで食べたり、煮物や炊き込みご飯にしてもおいしいですよ。
ぜんまいの下処理
アクが強いぜんまいの下処理には時間がかかり、すぐには食べられません。
ぜんまいは、わらび同様に重曹溶液に漬けておくことでアクが抜けます。
下処理は、まず最初にぜんまいの先端についている綿をしっかりと取る掃除が必要です。
次に、鍋に1リットルのお湯を沸かし、ぜんまいと重曹小さじ1杯を入れたらひと煮立ちさせて、そのまま冷まします。
そして、翌日から水を替えながら濁りがなくなるまでさらすのですが、ぜんまいの場合は3~4日ほどかかるでしょう。
しっかりとアクを抜けば、さまざまな料理に使うことができますよ。
山菜のアク抜きに使う重曹は食用のものを使ってね!
山菜の手軽な調理法
春の山菜には、茹でるだけで食べられるものもあります。
アクが弱いコゴミやウルイ、シドケ(モミジガサ)、アズキナ(ユキザサ)などです。
また、行者にんにくやアサツキなども、炒め物や薬味にそのまま使えますよ。
そして、アクがある山菜も手軽に調理するなら天ぷらがおすすめです。
春の山菜はアクが強いものが多いですが、油で揚げることで毒素は抜けていきます。
また、油と合わさると山菜の苦味が和らぐので、食べやすくもなりますよ。
天ぷらの場合は下処理の作業がいらず、洗ったらそのまま衣をつけて揚げるだけです。
その日に入手した山菜も、天ぷらにすればすぐに食卓に上げられます。
天ぷらにおすすめの山菜 |
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ふきのとう タラの芽 うど こごみ 行者にんにく |
まとめ
体にいい栄養分が豊富に含まれている春の山菜。
天然の山菜には独特の香りや苦味があり、慈悲深さを楽しめます。
春が旬の山菜に含まれる主な栄養は、苦み成分の元であるポリフェノールや食物繊維、カリウムなどです。
それらの栄養によって、山菜を食べると健康や美容に嬉しいデトックス効果が期待できます。
また、山菜のアク抜き処理は想像よりも簡単で、時間がかかっても手間はありません。
茹でるだけのものや、下ごしらえのいらない調理法なら、慣れない方にも取り入れやすいでしょう。
季節を感じられる身近な食材として、ご家庭でも利用してみてはいかがでしょうか。